掛端 伸也先生
Kakehata Shinya
プロフィール
- 出身地
- 青森県
- 出身大学
- 弘前大学
- 卒業年度
- 2004 年
- 放射線科医歴
- 20 年
- 資格
- 日本医学放射線学会 放射線診断専門医
- 日本 IVR 学会 IVR 専門医・代議員
- 日本核医学会 核医学専門医
- PET 核医学認定医
- 日本救急医学放射線研究会 代議員
- 日本癌治療認定医機構 癌治療認定医
- 日本医学放射線学会 研修指導者
- 医学博士
- 専門分野(IVRのなかでも
得意分野あれば) - 血管系 IVR(特に外傷などの救急や頭頚部癌の動注)
- 趣味
- 釣り(最近はなかなか行けていない)
これまでのキャリアを教えてください
2004年3月に弘前大学医学部を卒業後、弘前大学医学部附属病院で研修医として勤務を開始。その後、青森県立中央病院放射線部での勤務を経て、弘前大学医学部附属病院の医員となりました 。2011年3月には弘前大学大学院医学研究科を修了し、医学博士を取得しています。弘前大学大学院医学研究科放射線科学講座の助教、青森県立中央病院放射線部副部長などを歴任し、2020年4月からは弘前大学大学院医学研究科放射線診断学講座の診療講師を務めています。
キャリアを通じて、青森県内でしか働いたことがありません。県内で働き続けるメリットとしては、医療関係者のほとんどが顔見知りであるため、他科とのトラブルや施設間の患者の奪い合いなどが少なく、仕事がしやすい点です。一方、デメリットとしては、症例に偏りが出やすく、特に胆管ステントのような非血管系IVRの症例が少ない点です。また、都会に比べて血管奇形などの症例数が少ないため、成長のスピードが遅くなる可能性も感じています。
資格取得の中で、核医学専門医と癌治療認定医の取得が大変。特に癌治療認定医は、大学病院でオンコロジーに関わる上で必要であるが、自身の抗がん剤に関する知識が学生・研修医レベルで止まっていると感じたことが取得のきっかけで、2ヶ月程しっかりと勉強した。
所属施設の簡単な紹介
弘前大学医学部附属病院には、5名のIVR専門医が在籍しており、その他にIVR専門医を目指す後期研修医が8名、関連施設に出向中の後期研修医が4名います。
2022年のIVR件数は353件で、内訳としてはCV関連が94件、緊急止血術が60件、頚部動注が57件、肝TACE・TAE・TAIが56件などとなっています。
2023年、2024年も内訳の傾向に大きな変化はありませんでしたが、全体に増加しており、2024年は約
救急患者の搬送は全県および秋田県北からあり、特に頭頚部癌、中でも口腔癌の患者さんは全県から集中するため、頚部動注の件数が多くなっています。
IVR医を目指した理由
当初は消化器外科を志望していましたが、切らずに治療できる放射線治療や画像診断に興味を持ち、大学の学年が進むにつれてIVRに触れる機会が増え、手術とIVRの両方に魅力を感じました。卒後20年経った時にIVRをやっていない自分を想像して後悔しないためにIVRの道を選びました。
IVRに興味を持った理由としては、外科手術ではなくカテーテルで体の奥深くを治療できる点、かっこよさ、繊細な手技、自身の器用さへの自信、そして他人とは違うことをしたいという思いがあります。
医学部5年生の実習時に放射線科への入局を決め、学生実習中に、術後出血に対してステントグラフトで止血した症例を見て、「これはすごい」と感じたことがIVRに興味を持ったきっかけの一つです。
現在の業務の割合(IVRが占める割合や、読影・研究などとの比率)
現在の業務は、およそ半分がIVR関連の業務
- 月曜から木曜: 午前はIVR外来(なければ読影)、午後はIVR(なければ読影)。平日夜は月に6回程度遠隔読影を行っています。
- 金曜: 外勤。午前はIVR(なければ読影)、午後は読影。
- 週末: 遠隔読影や待機当番があり、それらがなければ自由時間となります。
IVR外来は定期フォローの患者だけでなく、他科から予約なしで受診する患者にも対応しています。読影は知識をアップデートするために重要だと考えており、今後も続けたい。
プライベートの過ごし方
平日の夜は晩酌をして過ごしていますが、カミさんが先に寝ていることが多く、少し寂しく感じることもあります。趣味の釣りはまとまった時間がないと行けないため、昨年は数回しか行けませんでした。4人の子供の学校行事や学会、研究会、待機当番などで週末はほとんど予定が埋まっており、スポーツや趣味に没頭するようなキラキラした感じはないです。
プライベートでは家のことや子供を遊びに連れていくこと、飲み、そして睡眠が主となっています。

IVRのこれがいい!&これは大変…!
これがいい!
- 術前の治療計画を立てるのが好きで、デバイスやアプローチの選択などをずっと考えていられる点。
- いつもの手技の中で、危機的な状況を一気に好転させるゲームチェンジャーになり得る瞬間があること。
- その治療でしか助けられない患者さんを期待通りに助けられた時の充実感。
IVRのこれは大変…!
- 夜間の緊急対応は、それほど大変だと感じていなです 。しかし、出張以外でも待機当番があるため、完全にオフの日が少ないことは少し大変だと感じています 。
これからの目標、挑戦したいことを教えてください
目標は、いつまでも必要とされる医師、先輩であり続けることです。また、自信を持って公言できる得意分野を持ち続けたいと考えています。
挑戦したいこととしては、若手の育成を挙げています。青森県内で放射線科やIVRを専攻する若手医師が増えているため、彼らが自信を持って安全・確実な手技を行えるように教育し続けることが重要だと考えています。現在、月1回WEBで開催している「青森IVRカンファレンス」を通じて、関連施設の若手医師や救急医、メディカルスタッフが症例を共有できるようにしています。
また、地方の患者さんが適時適切なIVR治療を受けられるように努力したいと考えており、所属施設で進めている腎癌に対するRFA(ラジオ波焼灼術)の普及・発展や、IVRへの「遠隔医療」の応用にも力を入れています。遠隔医療を応用することで、遠隔地で難しい症例に直面した若手医師をリアルタイムでサポートすることを考えています。