INTERVIEW

櫻井 淳

櫻井 淳先生

Sakurai Jun

プロフィール

出身地
岡山県 津山市
出身大学
鳥取大学
卒業年度
2002 年
放射線科医歴
23 年
資格
  • 日本放射線学会放射線診断専門医
  • 日本 IVR 学会専門医
  • 腹部ステントグラフト指導医
  • 胸部ステントグラフト実施医
  • PharmaTrain Federation, Centre of Excellence 修了
  • Associate Business Continuity Professional 修了
  • ARO 協議会認定プロジェクトマネージャーおよび認定スタディマネージャー
趣味
温泉・火山めぐり、ウォーキング

これまでのキャリアを教えてください

2002 年 鳥取大学医学部卒業。岡山大学医学部放射線医学教室に入局。
金澤右・名誉教授のもとで IVR 医を志す。三村秀文教授(聖マリアンナ医科大学)、郷原英夫教授(岡山大学病院)、平木隆夫教授(岡山大学)より指導を受ける。
ステントグラフト指導医取得に際し、青木淳教授(前昭和大学医学部 外科学講座 心臓血管外科部門)より指導を受ける。
2013〜2015 年 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に出向。
岡山大学病院帰任後、「臨産一体」の病院運営を掲げ、医療機器開発人材育成を推進。
現在、岡山大学病院 新医療研究開発センター 副センター長・教授 兼 副病院長

所属施設の簡単な紹介

新医療研究開発センターは岡山大学病院の中央部門の一つとして、医薬品・医療機器・再生医療等の開発をマネジメントしています。約 100 名の専門スタッフが在籍し、臨床現場と産業界を橋渡しする役割を担っています。IVR を含む医療現場のニーズに基づき、企業との共同開発や薬事支援、若手人材の育成にも注力しています。

IVR医を目指した理由

学生の頃から、がん治療の中でも低侵襲なアプローチは今後さらに進化していくだろうと感じていました。大学 3 年時、病理学の授業で肝細胞癌の TACE 後の病理標本を見る機会があり、正常肝はほとんど傷つかず、腫瘍だけがしっかり壊死している様子に強い衝撃を受けました。負担が少なく、選択的に治療できるという点に感動し、IVRという分野に強く惹かれるようになりました。
IVR は、画像診断と治療の技術をあわせ持ち、患者さんの全身状態に応じた最適な低侵襲治療を実現できる、非常に奥深い領域です。医療機器の効果を即時に実現できる点も魅力で、こうした機器を自ら開発し、臨床に届けることができれば、多くの患者さんにとっての新たな選択肢になり得ると考えるようになりました。
実際に IVR 医として診療に携わる中で、一人ひとりの患者さんの治療だけでなく、臨床現場の課題を社会に発信し、新しい医療を形にしていく必要性を強く感じました。
そうした思いから、新医療研究開発センターでの活動に軸足を移し、医療従事者の声を開発に結びつける取り組みに従事しています。現場の困りごとを丁寧に拾い上げ、開発というかたちで還元することで、より多くの患者さんの力になれると信じています。

現在の業務の割合(IVRが占める割合や、読影・研究などとの比率)

現在は、病院全体の運営や研究・契約法務に関するマネジメント業務が約 8 割を占めています。一方で、画像診断業務も継続しており、臨床感覚の維持に加え、「客観的な事実をもとに読み解く」画像診断の思考が、組織運営にも大きく活かされています。

プライベートの過ごし方

旅行が好きで、各地の自然や風景、土地の文化や歴史に触れる時間を大切にしています。火山や温泉を巡るのが特に好きで、博物館で化石や鉱物標本を見るのも楽しみの一つです。

仕事柄、何かと難しい局面に突き当たることもありますが、長い地球の歴史からすればちっぽけな瞬間であり、また季節が変れば見方も変わるという思いを持ちながら、日々を過ごすことを心がけています。

IVRのこれがいい!&これは大変…!

印象に残っている IVR のエピソード

IVR 専門医取得後、香川県立中央病院に赴任し、365 日オンコール体制で数多くの緊急 IVR に対応しました。中でも印象深いのは、高エネルギー外傷に対するステントグラフト治療です。外傷性大動脈損傷や腸骨動脈損傷に対し、心臓血管外科と連携して緊急ステントグラフトを実施し、救命につながった症例は今も強く心に残っています。

これからの目標、挑戦したいことを教えてください

医師として研究マネジメントや組織運営に関わるキャリアを歩む若手を育成したいと考えています。医師免許は、医療現場に限らず多様な分野で力を発揮できる資格であり、将来の働き方の選択肢を広げてくれます。
私自身、卒後 11 年目に PMDA に出向し、医療機器審査や国際治験に関わった経験が、10 年後、20 年後のキャリアを見据える大きな転機となりました。このような機会を、次世代の医師にも積極的に提供し、外の世界に触れるきっかけをつくっていきたいと考えています。

また、組織マネジメントにも携わる立場として、そうした挑戦が当たり前になる文化を組織に根付かせることが、私の使命の一つだと感じています。

文責

宗友一晃